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「ロード・オブ・ウォー」 [テレビ・映画]

「ロード・オブ・ウォー」は最高だ。オチが実にいい。つまるところ、主人公ユーリー・オルロフは手先に過ぎない。両親に絶縁され、弟に死なれ、妻子に捨てられても、彼は武器を売り続ける。しかし「夢」を果たしてそして敗れた彼は、何のために武器を売りつつけるのか。「才能」。それだけが理由。使う側にはまことに都合がいい。

この映画のいいところは、武器輸出の非人道性、しかもそれが個人だけでなく、国家によって行われる場合も含めて指弾しているだけでなく、本当に何が戦争の理由なのか、なぜ罪なき人々が大量に虐殺されているのを示していることだ。つまり、結局、拒否権を持った5大国がある以上、国連は何もできない。戦争は止められない。止められるのは、彼らにとって「役に立たない」戦争だけだ。例えば、10年後に日本人と朝鮮人が殺し合いをしていても、それらが彼らに利益をもたらすなら、彼らはテレビを見て、「殺し合いは嫌だね」と言うだけ。安保条約が戦争の過激化に役立つなら、それも利用されるだろう。米軍人100人の命に引き合うように、日本人1万人の命を要求してもいいわけだ。
現在の世界は最悪。大国が一つなら、いずれは競争者に引き倒される。しかし5つもあり、彼らが絶対に互いに戦わないのなら、絶対に支配が崩れることはない。その最大の理由は国連だ。自分らに都合の悪い決議を安保理で拒否し続ける限り、国連お墨付きの戦争は彼らに敵対する者を滅ぼし続ける。タリバンもイラクも、アル・カイダも。北朝鮮がまだあるのは、彼らにあまり都合が悪くないから。殺されるのが日本人や韓国人、ましてや一番死んでいるのが当の北朝鮮人自身なら、なんで米中ロシアが止める必要があるのだろうか。

この映画は世界規模の現在進行中の「偽善」を鋭く突いている。なるほど世界の1人に1丁銃が渡るようになっても、それが大国の利益になるなら、誰も止めることはできないだろう。


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