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CMJ#97「コルスンの戦い」-感想 [コルスンの戦い]

CMJはゲームに興味のあるときに購入しているだけだし、それもすべてプレーしているわけではない。今回のこのゲームにしても途中までソロプレーしただ け。しかしそれでもあえて個人的見解を述べれば、これはこれまでのところでCMJのベストゲームではなかろうかと言いたい。

まず、ゲームには大雑把に分けて陸海空があり、時代的にも古代から近未来までさまざまある。その中でもCMJにつくゲームは、たとえばS&Tのよ うに実験的要素の強いゲームではなく、過去にすでに高評価を得ているものや、テーマ的に日本のゲーマーの興味を引きそうなものを選んでいる。となると必然的に、二次大戦の陸戦ものが多くなると思う。これはCMJのホームページからジャンル別のゲームリストを見れば実に明確である。ということでベストゲーム として取り上げられるのもそこから出ることが多く、たとえば74号の「スモレンスク攻防戦」は幅広く多くの人からいいゲームだと評 判されているようだし、プレーされることも多いようである。
しかし私はこれよりもコルスンの方がよいと思う。

それは、私が陸戦ゲームを評価する基準としては、
1 双方が攻防両方をできること
2 勝利条件の設定がよく、勝負争いが白熱すること
3 マップの広さに対してユニット数が適切なこと
4 ルールが煩雑でないこと
5 ある程度でもいいから補給ルールがちゃんとしていること

といったものがあげられるのだが、結論を言えばコルスンは1-4は満たしており、5については選択ルールである程度カバーされている。
しかし例えば「スモレンスク攻防戦」は上記1、2、4は満たしている。しかし3と5はだめである。
まず3であるが、遭遇戦という性質上、ゲーム初期においてコマ数がとにかく少ない。これは特に初心にとって、何をどうしてよいかわからないという状態に陥 らせる。私も最初そうだった。例えば同じテーマを扱う「パンツァー・グルッペ・グデーリアン」(PGG)は、ソ連軍側は初期配置と初動である程度の戦線が形成できて、ドイツ軍はそこへ攻めかかるので、何をし ていいかわからないということはない。
コルスンの場合はもっとはっきりしていて、初期配置で双方南北に走る戦線を東西に形成していて、そこへ東西からソ連軍が攻めかかる。とりあえずやることは わかる。
そして5。「スモレンスク攻防戦」は特にドイツ軍機械化部隊が盤上を縦横無尽に走る回ることになるため、補給ルールなどに拘束されない方が快適にプレーできる。しかしゲームの途中はいいが、問題は終盤である。基本的にVPはいくつかある町の支配で獲得するため、要は最後にそこにいればいい。つまりそこだけ保持して敵中に孤立してもいいわけで、結果として、最後の動きがいかにもゲーム的なものになる。そこでゲームが終わりだからいいような ものの、実際の独ソ戦なら一時期敵中に孤立した町を保持しても、どれほどの価値があるのだろうか。

結局は「スモレンスク攻防戦」はマップの広さに対してコマ数がいかにも少ないのである。もちろんそれは、2in1の付録ゲームでマップ もハーフサイズということはあるので、フルマップでコマシートが丸丸使えたら、もっと違うゲームを作れたのだろう。しかし現実にできているゲームは上記の ようなものなので、それで評価するしかない。
他方、コルスンであるが、これはマップの広さとコマ数のバランスが実にいい。通常ZOCのある陸戦ゲームでは、双方が戦線を形成するので、攻撃する方は戦線を維持するコマ数+攻撃重点を形成するコマ数が必要になる。このゲームでは初期配置でソ連軍は戦線の後方に待機するリザーブという形で機械化部隊が用意 されている。ドイツ軍にも増援が続々やってきて、それらが攻撃に使われるコマになる。今のところ戦線は3方面に形成されているが、どの方面でも攻撃する方 は戦線を維持するコマ数と攻撃重点を形成するコマ数がどちらも多すぎず少なく過ぎずといった状態で、いい塩梅である。プレーをしていく上でそのようになっ たとも言えるが、少なくとも私としてそうするために格別の苦労をしたという感じはない。それぞれの盤端から出てくる増援を普通に動かしたら普通にそうなっ たという感じである。こういうことはなかなかあることではない。増援を決めるためのリサーチがよかったのだろうか。

それと上の基準にはないが、私がコルスンを面白いと思うのは、
1 逐次移動・戦闘システム
2 ステップ数×係数で出す戦闘力
の二つである。
1については、オーバーランがあるゲームなどでもそうなのだが、単に敵の戦線を面で押すという攻撃だけでなく、一点に穴をあけて突破するとか、一か所を 破って敵を包囲するとか、いろいろな攻撃方法を考えることができる。他方こういうシステムはともすればプレーが面倒になりがちだが、このゲームでは移動・ 戦闘が終わった駒は横に向けるという簡単な処理と、上記に述べた適切なコマ数とスタック制限ルールによってあまり煩雑には感じられない。まあこれはターン のほとんどが泥濘で、移動力があまりなかったこともあるかもしれない。特にコマの過半数を占める徒歩部隊は、泥濘になると逐次移動の効果が生かせず、ほと んど何もできない。とは言え、今回のプレーで天候判定が極端に泥濘に偏ったという感じはないので、このゲームはこんなものなのだろう。

それとスタックルールであるが、特にソ連軍歩兵師団は他の部隊と全くとスタックできない。つまり逐次移動戦闘ができても結局は他のユニットと共同しないと攻 撃は無理なわけで、結果として移動・戦闘の組み合わせの数はそんなに多くはならない。逆にそれがたくさん作れるグループはいろいろなことができるわけで、 それで軍の強さの差が出るようになっている。
そして2。私は最初戦車部隊は何を相手にしてもステップ×2が戦闘力なので何で最初から戦力数の数字を2倍にしていないのかと思ったが、考えてみればどの部隊がロスをしても1ステップは1ステップなのである。つまり戦車部隊は同じロスをしても失う戦闘力が歩兵などよりも大きいということである。これが重戦車だと さらに大きくなる。そのようにして3種類の部隊の差が出るようになっているわけで、これはなるほどと納得できるルールである。

ただ、このゲームにも二つ問題点がある。
1 ステップ数×係数で出す戦闘力の煩雑さ
2 ロス表示マーカーの煩雑さ
いいところがいいばかりではなく問題点も伴っているのはよくあることで、このゲームでも例外ではない。
このゲームで戦闘力を出すには、
A ステップ数-ロス数でそのユニットの現在のステップ数を出す
B ステップ数に目標別の係数をかける
C 各ユニットについてBで出した数字を合計する
の3段階が必要になる。多くのゲームではCだけで済むので、煩雑さは否めない。
そして上の2だが、各ユニットにマーカーを置くので、全てのユニットにマーカーがつくと2個スタックなら4枚、3個スタックなら6枚のコマが重なることに なる。ゲームとしては4枚くらいが限度であろう。ドイツ軍は師団全部がスタックできるので、最大で5コマスタックできる。というと最大で10枚のスタック ができる。これはかなり扱いづらいだろう。

という問題点はあるにしても、今のところ最初に述べた感想は変わらない。このゲームがもっと多くプレーされて、ざまざまな評価が出てくることを期待するも のである。
ただ、その場合には選択ルールは、全部ではないにしても最初の二つは採用することをお勧めする。ドイツ軍の最初の移動に対する制限は、これがないとソ 連軍の進撃が鈍り、ポケットを作れない可能性があると思うからである。やはり望ましい状況に導くための「陰謀」はある程度は必要だろう。この「陰謀」は史実的にもある程度納得できるものでもあるし。
そして補給ルールは、補給切れになってもロスをチェックするだけなので中途半端とも言えるが、何もないよりはましである。少なくとも後方補給線無視で突っ走るような、この規模の陸戦ゲームでは奇妙に感じられるコマの動きを防止できる。私はゲームといえどもある程度の「秩序」は必要だと思うのである。

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