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レイテ戦について [本]

ゲームに合わせて大岡昇平の「レイテ戦記」を読み始めたが、幻の「台湾沖航空戦の戦果」と「レイテ決戦」の関係を読んで、唖然とするしかなかった。海軍は「大戦果」を誤報と分かったのに、発表してしまった後なのでそれを隠した。しかもすでに捷一号作戦を発動しているからには当然と思われるのに、同じ戦域で作戦を行う陸軍にも知らせなかったというのがひどい。陸軍は、台湾沖で大損害を受けたにもかかわらず、米軍は「無理して」比島作戦を敢行したと判断。これは好機と「ルソン決戦」から「レイテ決戦」に切り替えたとのこと。つまり誤った情報に基づいて戦略的な決定を行ったわけで、それが陸軍側の一方的な勘違いならまだしも、海軍が誤りを隠した結果だとは。別に発表する必要はなく、密かに非公式に「あの戦果は実は・・・」と陸軍の誰かに伝えてもよかったはず。後をどうするかは陸軍の責任である。

こんなことはゲームで表現できるだろうか。GMTの「エンパイア・オブ・ザ・サン」では「軍種間の対立」というルールがあるが、それが有効なときでも陸海軍ユニットが同時に活性化できないという程度。同じ側のプレーヤーが戦闘結果情報を共有できないというようなゲームがありうるだろうか。あるとすれば同じ国でも陸軍と海軍は別々のプレーヤーがやって、それぞれに勝利ポイントを稼ぐというような感じだろうが、その場合でパートナーに戦闘結果を知らせた後、それが誤りと分かっても相手に知らせないというようなゲームがありうるだろうか。
「事実は小説より奇なり」では済まないようなひどい話である。

もっともレイテ島に米軍の航空基地軍群が作られてはこの方面の制空権を握られてしまい、ルソン島で決戦しようとしてもできなかった、だから結果的にレイテ決戦をするしかなかったという「後知恵」はありうる。しかしそれは戦略的に重要な情報が陸海軍で共有されないという問題とはまた別。少なくともこのころ旧軍は、すでに「勝つための軍隊」ではなかったと言えるだろう。レイテ戦の時点では、何が一番大事か、何を最優先にすべきかという判断がすでにできなくなっていたほど、まともな精神状態ではなかったということなのだろうか。
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