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アニメ「FLAG」 [テレビ番組]

ゆうべ放送のアニメの最終回を見た。
「FLAG」は予想以上のできだった。これは万人に勧められる。

12話「フラッグ奪回」までで話は事実上終わり、後は後日談だと思って13話を見たが、冒頭が白州の取材中に何かアクシデントが起こった事を示す映像。てっきり彼女が狙撃されたのかと思ったが、その後が、彼女が国連軍に拘束されて5日後に帰ってきてから日本に帰る前の日までの事。そして赤城が、自分たちが紛争地域で取材する意味を確認する事。それがこの作品の主題だった。
シーダックも二足歩行兵器もそれに至る過程にすぎなかった。彼らは秘密部隊でありながら心のない兵器ではなく、まぎれもなく心を持った人間であり、そのことを白州は再確認して涙し、その思いを持って「私にはまだ撮りたいものがたくさんある」としながら、父親の誕生日のため一時帰国しようとする。すでに他のジャーナリストもあらかた帰国したが、赤城はフラッグの争奪戦と国連本部占拠事件がうやむやにされたことで、まだ何かあると感じて残る事にしていた。彼の予感が正しかったのか、それとも偶然か?白州が狙撃されたのなら、彼女の取材データを没収したのにシーダック隊長が密かに同じものを白州に送ったのがばれて、口封じされたとも疑われるが、この結末ではその辺りは何とも言えない。
大事なのは、白州の結末にかかわらず、彼女は「撮りたいもの」を見つけたこと。それは世界中にある紛争にもかかわらず、そこには必ず平和を願う心を持った人々がいる事。それを赤城は「1000万のクフラ」とした。「クフラ」とはこの物語の舞台になった国ウディアーナで「生きた女神」として民間の崇拝を集める少女の事だが、赤城は成長してその任を解かれた元クフラの女性と関わる事により、彼女のように自分の国の平和を願う存在は世界中に1000万人はいると確信し、彼らが平和を求める「フラッグ」を一斉に掲げるなら、未来は明るいのではないかと期待する。そのためにも、彼は白州の残した取材記録を公表する。それがこのアニメという事だ。

エンディングでは毎回最後に出てきた白州のカメラが、今までは横向きだったのが、最終回は前に回って、レンズにひびが入り、左側が破壊されているのを映す。白州の最期のシーンはアニメでは前述の突然映像が切れるところだけだが、このカメラが彼女がどうなったかを示している。たった1ヶ月の取材。しかし、それで彼女が残したものは、何よりも雄弁に語る。平和の回復のために命がけで戦った人たち、平和の回復を妨害しようとした人たち、それら一切を隠そうとした人たちのことを。それらを公表する事が、「1000万のクフラ」の願いを繋ぐ事になる。その結果がどうなるか。それは実世界で我々が見届ける事になるだろう。

私がこんなブログを書いているのも、実は同じ思いからかもしれない。

蛇足
NKHのBSで放送された「映画版」はこのアニメの短縮版らしい。ラストが全く同じなのでテーマは外していないと思うが、白州がシーダック隊からのメッセージを受け取って涙するシーンは、一見本筋とは無関係で無駄と思える回も見ていないと彼女の思いを理解する事はできないだろう。映画版だけの人は、是非アニメ版も見てほしい。結末を知っていても。いや、それならなおさら。

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